住所: Kampinkuja 2, 00100 Helsinki, Finland Google マップで開く
入場料: 無料
テーマ: オフィスビル, レストラン
ウェブサイト: アルヴァ・アアルト財団
開館時間
土曜日:9時〜20時
日曜日:12時〜18時
当初はヘルシンキ市エネルギー発電所として設計されたこの建物は、現在はヘルシンキ・エネルギー社のオフィスビルとしてヘルシンキの中心部、カンピ地区(Kamppi)にあります。これもまたフィンランディアホール(Finlandia-talo)同様に、1961年から始まったアアルトのヘルシンキ中心部の都市計画案によるもので、共に唯一実現したものです。設計は1965年から始まり、1973年に完成しました。
アアルトはこの建物を1939年に完成したカンピの変電所と統合した建築として設計しました。カンピの変電所は建築家グンナー・タウチャー(Gunnar Taucher)が設計を手掛けました。エネルギー社ビルは既存の変電所と屋根の線を揃えて設計され、新しい建物と古い建物を継ぎ目無く一体化させた良い例と言えます。この建物は現在カンピ周辺の街並みには欠かせない存在となっています。
このエネルギー社ビルは、もともと本社の他に電気や暖房熱の中央コントロール室、変電所、カスタマーサービスがありました。道路と同じ階にはカスタマーサービス、上の階にはオフィス用スペースを設計しました。最上階には会議室と従業員用の食堂があり、1階のカスタマーサービスのあるホールは吹き抜けになっており、天窓があります。この天窓は同じくアアルト設計の国民年金協会ビル(Kansaneläkelaitos, KELA、1952-1956年)の建物にも同じようなタイプの天窓が見られます。
オリジナルの内装は全てアアルト設計事務所が手掛けたもので、彼のスタイルである建物全体を芸術作品としているのが良くわかります。年月が経つにつれ、内装は使用者によって変わりましたが、一部に関してはオリジナルと同様に修復されています。建物の外壁はプリーツ状の銅板が使用されていおり、その部分に使われている照明は1990年代のものです。建物の内部の壁はアアルトによりデザインされた白と濃紺の艶のあるポール状のタイルが使われています。これらは、アラビア社(Arabia)による手作りタイルです。
ヘルシンキ・エネルギー社が年々新しい技術を取り入れているにも関わらず、このオフィスビル全体としては以前と同じ雰囲気が感じられます。オリジナルの姿が今でも保存されているのは、建物の所有者が長い間変わっていないからなのでしょう。
このビルを囲む街並みも年月と共に変わりました。一番最近で言えば、2006年に完成したカンピのショッピングセンターでした。エネルギー社ビルは現在、カンピのショッピングセンターの一部となっており、同時期にこれらの建物が繋がる地下通路が作られました。その後エネルギー社ビルの中心であったカスタマーサービスホールはカフェになり、一年中市民に利用されています。

エネルギー社ビルはカンピ周辺の街並みの一部になっている。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)
エネルギービルは新しい建物と古い建物を継ぎ目なく一体化させた良い例と言えます。