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エスポーとオタニエミの大学キャンパス

住所: Otakaari 1, 02150 Espoo, Finland Google マップで開く

入場料: 無料/ガイドツアー

ツアー: アアルト大学キャンパスのガイドツアーに関するお問い合わせは、visit@aalto.fi まで。

テーマ: スポーツ施設, 学校, 赤レンガ, 都市開発

ウェブサイト: アルヴァ・アアルト財団

ヘルシンキの西側にあるエスポー市(Espoo)は首都圏の一部です。エスポーで有名なアルヴァ・アアルトの仕事はオタニエミ地区(Otaniemi)にある大学キャンパスで、現在はアアルト大学(Aalto-yliopisto)として知られています。元々、ヘルシンキ工科大学だったこの大学がモデルにしていたのはアメリカの大学キャンパスで、アルヴァ・アアルトにより実現されました。ヘルシンキ近郊のこのエリアは現在新たな建設が進んでいるエリアですが、アアルト建築は今でも当初のように使われています。

オタニエミの中心部では1950年代から公園のようなキャンパスが建設されました。そこにはアアルトの都市計画と彼やその他のフィンランドの有名な建築家、レイマとライリ・ピエティラ(ReimaとRaili Pietilä)、ヘイッキとカイヤ・シレン(HeikkiとKaija Sirén)の建築などが含まれます。オタニエミのキャンパスはアアルト大学の一部です。

オタニエミや、その近隣のハルユビータ地区(Harjuviita)周辺にはアアルト設計事務所が手掛けた様々な建築があります。例えば、発電所、給水塔、ショッピングセンターや住居などです。エスポー周辺にはアアルトが実現できなかった居住区計画案もありました。

以下がオタニエミのアアルト建築です。

  • ヘルシンキ工科大学本館(Teknillisen korkeakooulun päärakennus)1949年、1953~65年
  • ヘルシンキ工科大学図書館(Teknillisen korkeakoulun kirjasto)1964~70年
  • スポーツセンター・オタハッリ(Liikuntakeskus Otahalli)1949~52年
  • 発電所(Voimalaitos)1960~64年

ヘルシンキ工科大学本館(Teknillisen korkeakooulun päärakennus)1949年、1953~65年

アルヴァ・アアルトは1949年、エスポー市のオタニエミの工科大学設計コンペティションで勝利を収めました。アアルト設計事務所は大学本館の他、キャンパスにいくつかの建物を設計しました。

本館を設計したのは1953~55年。工科大学は現在アアルト大学の一部で、本館は学生会館/Undergraduate Centre(Kandidaattikeskus)として知られています。

建設が開始されたのは1964年、実際に使用が開始されたのが1966年で、古いマナーハウスの場所に建てられました。本館の高く階段状にのぼっていく円形劇場風の外観の講堂(ホール)がキャンパスのランドマークとなっています。このように円形劇場をモチーフにしたものはアアルト建築に度々見られます。

本館はいくつかの建物に分かれており、中庭で繋がっています。ファサードには深い赤色のレンガ、黒い御影石、銅が使用されています。オタニエミのキャンパスの設計は車の交通と歩行者を分離することを基本にしていました。歩道は公園のような景色の中にあり、それぞれの建物を結んでいます。本館の入り口へは車でも徒歩でも簡単にアクセスできます。

本館は後に増築され、オタニエミ周辺は未だに建設の続くエリアとなっています。

キャンパス周辺は自由に見学することができます。

 

ヘルシンキ工科大学図書館(Teknillisen korkeakoulun kirjasto)1964~70年

工科大学の図書館は本館と共に、オタニエミのキャンパスの中心にあります。図書館は現在ではアアルト大学のハラルド・ヘルリン教育センター(Harald Herlin Learning Center)として知られています。

赤いレンガで覆われた図書館の入り口は公園側とオタニエミンティエ通り(Otaniementie)側の両方にあります。広い貸し出し用カウンターを中心にした貸出や閲覧スペースは建物の2階にあり、カウンター脇にある階段を下りると入り口のある1階に続きます。

図書館の内装は快適に読書や勉強などに取り組めるようにデザインされており、貸出や閲覧のスペースには天窓と上方にある窓から自然光が斜めに差し込みます。アアルトは設計の際、道路からの騒音が室内の妨げにならないよう配慮して設計しました。

図書館は一般開放されており、キャンパス周辺は自由に見学することができます。

 

スポーツセンター・オタハッリ(Liikuntakeskus Otahalli)1949~52年

オタニエミのスポーツセンターは1950年に設計が始まり、1952年のヘルシンキ夏季オリンピックで初めて使用されました。この建物はオタハッリ(Otahalli)として知られています。

このスポーツセンターは、白いレンガの小さなホールと地面を利用した木造の大きなホールの2つの建物から出来ていました。木造ホールの小屋組のスパンは45メートルで、2つのホールの間には観覧席を設計しました。

このホールは長い年月の間に何度も改修されていますが、現在でも建設当時と同様に利用されています。

このスポーツセンターは一般開放されています。

 

発電所(Voimalaitos)1960~64年

オタニエミのキャンパス中央発電所は1960年から64年にかけて2度に分けて建てられました。大学キャンパスの中ほどにある発電所はアアルトの発電所建築の1つです。

建物のファサードは赤レンガで覆われ、大きな窓は建物を軽く見せています。四角い窓から中の様子を見ることができ、これはモダン建築のテクノロジーに対する憧れの現れと言えるのではないでしょうか。

アアルトはいくつか発電所を設計していますが、ほとんどが工場と組み合わせたものでした。オタニエミの発電所は中心部にあり、その存在を示しています。この発電所の建物は増築され、何年にもわたり改修が重ねられてきました。

発電所の見学は外側からのみとなっています。

円形劇場をモチーフにしたものはアアルト建築に度々見られる。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)

大学の講堂のアーチ状の建築構造には、目を見張るものがある。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)

ヘルシンキ近郊のこのエリアは現在、新たな建設が進んでいるエリアですが、アアルト建築は今でも当初のように使われています。
Teknillisen korkeakoulun päärakennus, nyk. Kandidaattikeskus, Otaniemi
キャンパスの庭は夏になると緑豊かな景色が広がる。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)
Otaniemen kirjaston kaunis valo
アアルト建築では自然光が重要な役割を果たしている。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)
Otaniemen kirjaston restauroinnin onnistunut uusi osa
オタニエミの大学図書館(1970年完成)の2016年の修復、改修工事後の新しいスペース。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)
Otaniemi kirjastossa
利用しやすく快適なオタニエミの図書館。写真:アルヴァ・アアルト財団
Otaniemen liikuntahalli, Espoo
オタニエミのスポーツセンターは現在も利用されている。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)
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オタハッリは1952年のヘルシンキ夏季オリンピックで初めて使用された。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)
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発電所の大きな窓は建物の外観を軽く見せている。写真:Maija Holma(アルヴァ・アアルト財団)

案内

基本情報

オタニエミ(Otaniemi)へのアクセス

 

アアルト大学はヘルシンキの中心部から約10kmに位置し、本館の住所は Otakaari 1, Espooです。

ヘルシンキからは地下鉄を利用するのが便利ですが、エスポーやヘルシンキバンター空港からも公共交通機関を利用してお越しいただけます。ヘルシンキ周辺の交通情報に関してはこちらからルート検索をすることができます。

季節にもよりますが、自転車もおすすめで、ヘルシンキ交通局の自転車city bikeのレンタルができます。

 

アアルト大学についての詳細はこちらから。

また、オタニエミ周辺の地図はこちらからダウンロードできます。

 

Alvar Aalto web shop ではオタニエミのアルヴァ・アアルト建築の本をお買い求めいただけます。

ガイド付きツアー

アアルト大学キャンパスのガイドツアーに関するお問い合わせは、visit@aalto.fi まで。